予防歯科

虫歯や歯周病から歯を守るために

歯は生活のあらゆるシーンで重要な役割を担っています。例えば、食事を楽しんだり、人とコミュニケーションをとったり、口元で表情がわかるなど、歯は生活の質を大きく左右しています。もし、虫歯や歯周病などにより、歯を喪失してしまうと、生活の質が大きく低下するかもしれません。
当クリニックでは、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、虫歯や歯周病にならないように予防することが大切だと考えております。当クリニックでは、予防のプロフェッショナルである歯科衛生士が在籍しており、患者様の口腔内環境に合わせた予防処置を提供いたしております。

予防歯科

予防歯科の効果

予防先進国のスウェーデンでは

ここでスウェーデンでの事実にご注目ください。スウェーデンでは20年以上前から予防を国民に推奨してきた結果、75歳で平均19.5本の歯が残っているという驚くべき成果が現われています。
残念ながら、日本では歯が痛くなったときに歯科医院に通うというスタイルの結果、80歳でわずか12.2本の歯が残っているのが現状です(平成2年厚労省データより)。
日本では、予防のために歯科医院を定期的に利用している人は、約2%程度です。しかも、歯を悪くして時間とお金をかけた人が、予防の大切さに気づいて通っているのが実状です。ところが、歯科先進国のスウェーデンでは80%以上の人が、普段から予防を心がけています。

日本人とスウェーデン人の残存歯数グラフ

日本国内においても

虫歯や歯周病から歯を守り、いつまでもご自身の歯で過ごすために必要なことは、3ヶ月に1度、定期的に歯科医院で予防のためのプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を受けることです。
スウェーデンでは、治療ではなく、歯のクリーニングであるPMTCに力を入れたことによって、国民の平均残存歯数が飛躍的に向上したのです。
日本でも、山形県日吉歯科診療所の熊谷崇先生の調査によると、クリーニングをしっかり受けた方と、受けなかった方とでは80歳になったときに約9本の差が出るという結果になりました。
「年を重ねるほど、歯が悪くなる」というわけではないのです。若いころから歯科医院で定期的にクリーニング(PMTC)を受け、ご自身によるブラッシングをしっかりと行えば、多くの歯を残すことが可能となるのです。

一人平均残存歯数の比較

虫歯予防のための唾液検査

お口の環境を手に入れるには、カリエスリスク(虫歯のなりやすさ)を把握して、最適な予防プログラムを立てることが有効です。

カリエスリスクは唾液を採取して行う検査で、唾液の分泌量や抵抗力それに細菌数を調べることで、虫歯になる危険度を測定します。危険度がわかれば、効果的な虫歯予防プランを立てることができるので、虫歯を効果的に抑制できます。当クリニックでは、健康な状態を維持するためのカリエスリスクテストを推奨しています。

スポットケムST

スポットケムSTという唾液検査用装置を導入いたしました。
一回の検査で虫歯リスク・歯周病リスク・口腔清潔度(口臭)を測定することができます。測定はとても簡単です。精製水を口に含み、10秒間すすいでから、コップに戻すだけです。検査結果は5分で出力され、視覚的に分かりやすいレーダーチャートで表示されます。今まで検査結果が出るまでに何日もかかっていましたが、検査してから10分程度で患者様に口腔内リスクと効果的な予防法をアドバイスすることができるようになりました。

歯周病は予防する時代です
検査項目
  1. 虫歯菌(口腔内細菌の代謝活性を測定して虫歯菌の数を把握します)
  2. 酸性度(酸性度が高いと虫歯になりやすいため酸性度を測定します)
  3. 緩衝能(唾液が持つ酸を中和する能力を測定します)
  4. 白血球(歯肉に炎症があると、唾液中の白血球が増えるため測定します)
  5. タンパク質(歯周病の原因菌が多く、歯肉に炎症があると、唾液中のタンパク質が多くなる)
  6. アンモニア(唾液中のアンモニアは、口腔内の総細菌数と比例します)
スポットケムST

当クリニックでの
予防処置について

ブラッシング指導

虫歯や歯周病の原因は細菌の塊であるプラークです。虫歯や歯周病から歯を守るためには、このプラークをコントロール(抑制)しなければなりません。プラークをコントロールする最善の方法は、毎日のブラッシングです。歯科医院で定期的に歯のクリーニングを受けたとしても、日々のプラークコントロールが上手くいかないと、虫歯や歯周病から歯を守ることができません。
最適なブラッシング方法は、お口の状態や歯並びによって、人それぞれ異なります。当クリニックでは、患者様各人に合わせたブラッシング指導を行っています。実際に歯ブラシを用いて、正しい歯ブラシの握り方や当て方、動かし方を指導いたします。

ブラッシング指導

スケーリング

プラークは、時間の経過とともに石灰化していき、歯石と変化していきます。歯石ができると、歯の表面は凹凸(おうとつ)ができて、プラークが付着しやすくなります。それにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
専門の訓練を受けた歯科衛生士が、歯の周辺や歯周ポケットの内側に付着した歯石を除去することがスケーリングです。専用の器具を使って丁寧に歯石を取り除きます。初期段階の歯周病では、複数回のスケーリングを受けていただくことで歯周病の進行を抑えることができます。

スケーリング

PMTC(プロフェッショナルクリーニング)

歯科衛生士による歯のプロフェッショナルクリーニングがPMTCです。PMTCとは、Professional Mechanical Teeth Cleaningの頭文字をとったものです。
プラークを放っておくと、歯の表面に細菌が層をなして堆積します。こうなってしまうと、ぬるぬるとした粘着性の塊となり、歯の表面を覆ってしまいます。丁寧にブラッシングを行ったとしても完全に除去することが難しくなります。

専用の器具を用いて、歯の表面に付着した汚れや歯周ポケットに堆積したプラークを機械的に引き剥がします。処置後はフッ素入りジェルで歯のコーティングとトリートメントを実施しますので、歯の表面がツルツルとして、お口の中が爽快になります。毎日の正しいブラッシングと合わせて、2~3か月に1度、定期的にPMTCを受けていただくことで、虫歯や歯周病から歯を守ることができます。

PMTC

PMTCで主に使用する
診療機器

プロフィーメイトネオ

当クリニックでは、プロフィーメイトネオという器具を使用してPMTCや歯のクリーニングを実施しています。細かいパウダーと水のスプレーを歯に噴射することで、ブラッシングではなかなか落とせないステイン(茶渋・タバコのヤニ)やプラークを広範囲に除去して、歯本来の白さを取り戻すことが出来ます。
従来型の機器では、重炭酸ナトリウムという角張った粒子のパウダーを使用しており、クリーニングに痛みを伴ったり、塩分摂取制限中の方に使用できないというデメリットがありました。
しかし、このプロフィーメイトネオを使用したクリーニングは、炭酸カルシウムの球体状粒子パウダーを使用しているため、歯の表面を転がりながら汚れを落とします。歯や歯肉を傷つけることもな く、なめらかで美しい表面に仕上がります。痛みが苦手な方にもおすすめです。

プロフィーメイトネオ

エアースケーラー

エアースケーラーは、空気の力でチップやブラシを振動させ、歯石の除去やクリーニングを行う機器です。
当クリニックには、一般的に使用される超音波スケーラーが常備されていますので、エアースケーラーがなくても問題ありませんでした。しかし、ソニックブラシを使用するために導入しました。
ソニックブラシは、エアー圧による音波振動を利用してナイロン製のブラシが振動し、歯質や修復物を傷つけることなくプラークを除去することができます。
超音波スケーラーが使えないクラウン(修復物)やインプラント周囲の清掃、矯正装置周囲の狭い部位の清掃、等に効果を発揮します。また、患者さんに痛みを与えることが少なく、歯肉の炎症が強い方のプラーク除去にも安心して使用できます。

エアースケーラー