X線診断(歯科専用CT)
CTと言えば、医科の分野においては、様々な場面で聞く診断法ですが、医科用CTでは、画像を面(輪切り)でしか捕らえることができず、歯科の分野においては、正確な診断を行うことができませんでした。歯科専用CTは、近年開発された歯科に特化したCT装置で、コンピュータを駆使したデータ処理と画像の再構成で、口腔内を3次元で把握することができます。
クリニックに歯科専用CTがあるメリット
当クリニックでは「ファインキューブE2 」という装置を導入しています。CTを導入していないクリニックでは、大学病院や提携クリニックでの撮影が必要なため、診断までの期間が長くなりがちですが、当クリニックでは、速やかに診断を行うことができます。また、他病院への紹介状料や撮影依頼料が不要な分、患者様への負担費用も抑えることができます。
歯科専用CTと医科用CTの違い
医科用CTは横たわって撮影するのに対して、歯科専用CTでは座ったままで撮影が可能です。また、撮影も10秒ほどで終了するので、被ばく量が医科用CTの1/8~1/50になります。
歯科専用CTの特徴
- 被ばく量が少ない
- 短時間で3次元画像を構築できる
- 座ったままで撮影できる
従来のレントゲン装置(パノラマレントゲン)との違い
従来のパノラマレントゲンが2次元(平面)であるのに対して、歯科専用CTは3次元(立体)で画像をとらえることができる点が大きな違いです。今までレントゲン写真では正確に細部までわからなかった骨質、骨の高さ、骨の形状まで正確に撮影することが出来るようになり、より正確な診断、安全性の高い治療が可能になります。
歯科専用CTの特徴
- 見えなかったものが見える(可視化)
- 経験と勘ではなく客観性を与えることができる
- より安全な治療を行える
CT撮影の保険適用について
保険適用となるケース
現在は「歯科用エックス線撮影または歯科パノラマ断層撮影で診断が困難な場合であって、画像撮影の必要性が十分認められる以下のいずれかのケースにおいて3次元的に確認する場合」に保険適用できることとなっています。
- 埋伏智歯等、下顎管との位置関係
- 顎関節症等、顎関節の形態
- 顎裂等、顎骨の欠損形態
- 腫瘍等、病巣の広がり
- その他、歯科用エックス線撮影またはパノラマ断層撮影で確認できない病巣の広がり等を確認する特段の必要性が認められる場合(難治性の根尖性歯周炎、根分岐部を有する中等度以上の歯周炎が現在含まれます)
保険適用とならないケース
- インプラントの術前、術後の診査
- 普通抜歯が可能の親知らず
- 普通抜歯が可能な歯の保存の可否の診断
- 根尖病巣が認められない根管治療
- 他院で治療予定の診断
※インプラント診断用CTの撮影等、当院通院患者さんの保険適用外治療の撮影にかかる費用は5,000円(税別)です。
さまざまな治療に
CT撮影が活躍する理由
- 親知らずの抜歯
- 歯茎の奥に埋まっている親知らずも、立体的画像によって、あらゆる方向から観察できます。これにより、歯と神経の位置関係や炎症の程度、病巣の有無などを確認して治療にのぞむことができるようになったため、これまで以上に安全な抜歯が可能となりました。
- インプラント
- インプラントが植立できるかどうかは骨条件に左右されます。そのために、骨の奥行き・骨の幅・厚みを正確に把握することが重要です。これまでは、歯科医が持つ経験や勘を頼りにした部分もあったので、誤った方向・角度・深さにインプラントを植立してしまった症例も見受けられました。当クリニックでは、事前にCT撮影を行なうことで、精度が高く、安全なインプラント治療を提供しています。
- 歯周病
- 歯周病は、歯を支える骨が破壊されていく疾患です。CT撮影により、骨がどの程度まで破壊されているのかを確認することができます。また、治療を実施したことによって、どの程度まで歯周病が改善しているのかも視覚的に判断することができます。歯周病の進行度合いや治療効果が、より明確に把握できるようになりました。
- 根管治療
- 歯根の形態や、曲がり具合、長さなどを立体的に見ることができるので、歯の根の治療(根管治療)において大きな役割を果たします。また、歯根の先端の病巣発見や、治療後の治癒の状態なども正確に判断できます。
- 矯正治療
- 歯の状況と歯が並ぶスペースである顎の骨の状況を正確に診断することで、移動可能な歯の距離などを事前に確認することができます。また、矯正治療中も歯の根の移動状況や支える骨の具合も判断できるようになるので、治療の精度が高まります。