2020年7月20日

⻭周ポケット

前回は「歯ぐきの検査について」で、歯と歯ぐきのすき間の深さを測り、歯の健康状態をチェックしていることをご紹介しました。その歯と歯ぐきのすき間を「歯肉溝」と呼びますが、歯肉溝は深くなると「歯周ポケット」と呼ばれます。「歯周ポケット」は歯ブラシなどのテレビCMでも最近よく耳にするようになってきました。
今回は「⻭周ポケット」とはどのようなものなのかご紹介します。

 

⻭周ポケットとは

誰でも⻭と⻭ぐきの間にはわずかな隙間があります。健康な⼈でも通常1〜2mmの深さの溝があり、これを「⻭⾁溝」といいます。清掃が⾏き届かず、そこに⻭垢(プラーク)などの汚れが蓄積すると、歯ぐきに炎症が起きて腫れたりします。その状態が進⾏すると、歯肉溝がどんどん深くなり、⻭周ポケットになります。

歯周ポケット

 

⻭周ポケットが深くなる過程

歯と歯ぐきの境目は、ご自身だけではなかなかケアをしにくく、磨き残しが多くなってしまう部分です。
歯肉溝から歯周ポケットへと隙間が深くなっていく過程を見てみましょう。

歯ぐきが健康な状態

① 健康な状態
⻭と⻭茎の間には1〜2mm程度の⻭⾁溝があります。

歯周炎

② 歯周炎
⻭⾁溝に汚れが蓄積され、そのままにしておくと2〜3mmの深さになります。

 

軽度歯周病

③ 軽度歯周病
炎症がひどくなり、⻭周病菌が侵⼊し、⻭の組織を破壊し始めます。歯肉溝が3〜5mmになり、⻭周ポケットが形成されます。歯肉の腫れや出血などを伴います。

中等度歯周病

④ 中等度歯周病
炎症がさらにひどくなり、⻭がぐらつき始めます。⻭周ポケットは4〜7mmになります。出血や口臭という症状があらわれます。

 

重度歯周病

⑤ 重度歯周病
⻭を⽀えている⾻が溶けて、⻭がぐらぐらになります。⻭周ポケットは6mm以上になります。重度の場合、歯周外科処置、または残念ながら抜歯しなければいけないこともあります。

 

歯周ポケットのケア

歯周ポケットのケアは、⻭みがきやフロスなどご自身での正しいセルフケアと、⻭科医院での定期健診(プロフェッショナルケア)が効果的です。
⻭科医院での定期健診では、⾃分で取り切れない⻭⽯や⻭垢などの汚れもきれいにしてもらうことができます。また、患者様の口腔内環境に合わせた歯みがき指導などを行います。

歯は削ったり抜いたりすると、元には戻りません。小児期から歯科医院で定期的にクリーニングを受け、ご自身による正しいブラッシングをしっかりと行えば、多くの歯を健康に残すことが可能ですので、小さいころからしっかりケアを続けましょう。もちろん、今まで歯科医院に行ったことない方でも遅くはありませんので、お口のお悩み、お気軽にご相談ください。

 

参考

公益財団法⼈ ライオン⻭科衛⽣研究所 https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/trouble/02.htm
テーマパーク8020 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index_02.html

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